コロナ後の社会をいのちが最優先の社会に、
協同組合の底力を発揮しよう!
栃木保健医療生協第45回通常総代会が6月27日(土)に宇都宮市内の栃木県青年会館(コンセーレ)中会議室で開かれました。
新型コロナウイルス感染症(COVID―19)対策を講じ、参加者を極力少なくせざるを得ない総代会でした。全総代135人中131人が事前の書面議決書で参加し、4人が実出席しました。議長は、宇都宮中央支部の粂川吉見総代が務めました。
〝コロナ後〟の社会を考えよう
開会あいさつをした北岡吉民副理事長は「効率や経済優先の社会では、私たちのいのちやくらしが守られないことが証明された。コロナ後の社会は、弱者を切り捨てる新自由主義的な社会ではなく、すべてのいのちが大切にされる平和な社会にするために、みんなで声を上げましょう」と発言。定款第59条により、実参加と書面議決によりすべての総代の出席で総代会が成立していることを報告し開会が宣言されました。
▲北岡吉民副理事長
困難な状況にあるすべての人と力をあわせよう
続けてあいさつをした関口真紀理事長は、「私たちがかつて経験したことがない大きな困難に直面しています。①この困難に対し私たちはたじろがずに対峙することが大切です。政府の専門家会議を解散するなどの対応には無責任さを感じます。②困難な方たちと共に苦しむ。ともすると、経済的な貧困などにあえぐ人たちに、比較的余裕のある私たちが上から手を差し伸べるという構図になりがちだったが、現在の状況は、私たち医療・介護の事業者も困難のただ中にいる。共に困難に立ち向かいましょう。③協同組合の力を発揮しましょう。『一人はみんなのために、みんなは一人のために』という協同組合の仕組みが〝コロナ後〟の社会を展望する上で重要だと思っています。みんなで力をあわせて乗り越えましょう」と呼びかけました。
▲関口真紀理事長
連携で前進つくったが決算は赤字に
赤堀和彦専務理事が議案提案を行いました。「2019年度、台風19号の被災者支援活動や、宇都宮市医師会内で健康格差問題の解消に取り組む『社会支援部』ができ、医療生協も積極的に役割を発揮するなど、地域と連携し社会貢献してきた」と報告がされました。
事業面では、「2019年度2人の医師を迎え、両診療所の医療活動が大きく前進し、また介護分野でも健闘し、医療・介護とも収益を増やしたが、2月からの新型コロナの影響が大きく収益が予算に届かず約2300万円の赤字決算になった」と報告しました。
▲報告をする赤堀和彦専務
医師増の強み生かし、医療・介護活動のさらなる発展を
2020年度事業計画の提案では、「研修医を含めて3人の医師が増え、『住みなれた地域で最期まで』を支える医療・介護事業のさらなる発展が期待できる。新型コロナによる困難は、生協の持てる力を総結集して乗り越えましょう」と呼びかけました。
新4ヶ年計画」をスタートします
新4ヶ年計画の提案を関口真紀理事長が行い、「45年前の創立時から使用している現介護サービスセンターの建て替えは必須です。『自助・互助・共助』が強調され、社会保障制度の削減が加速する矛盾はあるが、地域で活躍する組合員がいる生協の強みを生かして、新たな建設計画を成功させ、組合員がいるすべての地域でつながりを生かした居場所づくりをすすめましょう」と話しました。
疑問質問に答えました
議案提案を受けた質疑では、会場に出席した総代からの質問と、事前に提出されていた質問に答えました。
「職員の理事が減っているが今後の幹部育成についての考えは?」という質問に対しては関口理事長が、「今回の職員理事は、常務理事会を構成するメンバーに絞った。その次の幹部候補をみんな理事にすると職員理事がおおくなりすぎるので、必要な幹部には理事会への陪席を求め、経営がわかる幹部づくりの方針をつくり実行します」と答弁。
「購買生協との関係づくりとは具体的にどうするのか?」という問いには、宮本常務が、「健康チャレンジやまつりへの相互の参加、今回のコロナ危機ではガウンやフェイスシールドの寄付をもらった。生協間の関係から、地域の組合員同士の関係づくりで、食の安全や環境問題、健康問題など共通する要求で協同していきたい」と答えました。
「出資金5000万円増資は大変な目標だがどうすすめるのか?」との質問には、赤堀専務が「出資高通知で増資のお願いをする。率直にコロナ禍の医療・介護の危機を訴える。新4ヶ年計画についても多くの組合員に知らせ、率直に協力を呼びかけていく」と答えました。
また、「患者を確保し必要な収益を上げるための具体策は?」には、「診療時間の見直しや訪問診療の範囲を拡げる、健診や診療枠の拡大などを検討しているが、医師はじめスタッフの働き方改革も課題なのでこれらを踏まえて検討する」と関口理事長が答えました。その他、経営数値の見方考え方についての質問が出され、赤堀専務が答えました。
新しい役員体制
新役員の選任が行われ、20人の理事、2人の監事が選出されました。新4役は以下のとおり。
役職名 | 氏 名 | 役職名 | 氏 名 |
理事長 | 関口 真紀(再) | 専務理事 | 宮本 進(新) |
副理事長 | 北岡 吉民(再) | 常務理事 | 青柳るり子(新) |
副理事長 | 岩本 徹(再) | 常務理事 | 赤堀 和彦(元) |
退任理事紹介
小池幸子さん 18期36年
斉藤真一さん 5期 9年
佐々木紀子さん 2期 3年
槇忠光さん 3期 6年
渡辺弘子さん 5期10年
※非常勤の小池幸子さんには退任の記念品と花束を贈呈しました。斉藤さん佐々木さん槇さん渡辺さんは引き続き職員として活躍していただきます。
▲小池さん、長い間お疲れ様でした。
総代会で選任された理事と監事
氏 名 | 氏 名 | ||||
理事 | 岩本 徹 | 再 | 理事 | 森 四郎 | 再 |
理事 | 斉藤 千恵 | 再 | 理事 | 吉田 えり子 | 再 |
理事 | 酒井 茂 | 再 | 理事 | 青柳 るり子 | 再 |
理事 | 佐藤 次雄 | 再 | 理事 | 赤堀 和彦 | 再 |
理事 | 鈴木 順子 | 再 | 理事 | 北岡 吉民 | 再 |
理事 | 鈴木 フサ江 | 再 | 理事 | 崎谷 徹夫 | 再 |
理事 | 早乙女 利次 | 再 | 理事 | 関口 真紀 | 再 |
理事 | 野島 和泉 | 再 | 理事 | 宮本 進 | 再 |
理事 | 増山 民江 | 再 | |||
理事 | 水本 純子 | 新 | 監事 | 大坪 和昭 | 再 |
理事 | 峯岸 貴志子 | 再 | 監事 | 鎌柄 克美 | 再 |
理事 | 宮本 考司 | 再 |
第45回総代会に提案された議案と議決状況
各号議案の名称 |
議決の状況 | ||||
賛成 | 保留 | 反対 | 合計数 | ||
第1号議案 | 2019年度事業報告の承認の件 | 134 | 0 | 0 | 134 |
第2号議案 | 2019年度決算報告及び損失処理案の承認、監査報告の件 |
133 |
1 |
0 |
134 |
第3号議案 | 2020年度事業計画決定の件 | 134 | 0 | 0 | 134 |
第4号議案 | 2020年度予算決定の件 | 132 | 2 | 0 | 134 |
第5号議案 | 新4ヶ年計画決定の件 | 130 | 4 | 0 | 134 |
第6号議案 | 役員選任規約一部改定の件 | 134 | 0 | 0 | 134 |
第7号議案 | 役員選任の件 | 133 | 1 | 0 | 134 |
第8号議案 | 2020年度役員報酬決定の件 | 133 | 1 | 0 | 134 |
第9号議案 | 総代会運営規約一部改定の件 | 134 | 0 | 0 | 134 |
第10号議案 | 議案決議効力発生の件 | 134 | 0 | 0 | 134 |
※ 議長は採決に加わらないため、議長を除いた134名の総代により採決が行われました。
くらしいのち、平和守る大きな協同行動を(特別決議を採択)
総代会の最後に、①コロナの影響で苦しんでいる人を支える活動や②医療介護の現場を守るために公的支援を実施すること③栃木保健医療生協の事業と運動を広げるために組合員ふやしや出資金ふやしに取り組むこと④憲法を守り生かす取り組みを強めることを呼びかけた特別決議が全参加者の総意で確認されました。
▲開会前に行った組合員自主目標達成支部の表彰
佐野支部峯岸貴志子支部長、宇都宮中央支部鈴木順子支部長、宇都宮北西支部斉藤千恵支部長、関口理事長(左から)
特別決議
大切な国民のいのちとくらし 医療・介護の現場を守るため 力をあわせて大きな協同行動に取り組もう
組合員のみなさん
新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の猛威により、私たちはかつて経験したことがない困難な状況に直面しています。そして、この困難はワクチンや治療法の開発まで一定期間続くでしょう。
すでに国民生活には深刻な影響が出ています。自粛要請で収入減や職を失う人、学校の休校やテレワークなど、慣れない環境での経済的な負担や心身への負担、社会的に弱い立場にある人ほど影響は大きいと言われています。「常に地域の中の困っている人々に関心を寄せ、私たちにできることを考え行動します」という私たちの理念に沿って、地域の人たちのくらしといのちを支える活動に取り組みましょう。
組合員のみなさん
感染阻止の最前線である医療・介護現場も大きな危機に直面しています。もともとギリギリの経営状態だった医療機関や介護事業所が、感染対策費が増える一方で、健診の先送りや軽症患者の抑制、利用者の自主規制などにより大きな収入減に陥っています。このままでは多くの医療機関や介護事業所が倒産や廃業に追い込まれる危険があります。
栃木保健医療生協の事業経営にも影響が出ています。2019年度の決算は、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の影響を受け赤字となり、2020年度のスタートも大変厳しい状況です。栃木保健医療生協は近年、在宅医療に力を入れ小さいながらも着実に事業を拡大し、常勤医師8人体制となりました。しかし、今の状況が続けば私たちの事業継続も困難になることは必至です。
組合員のみなさん
政府は、6月12日に第二次補正予算を成立させましたが、日本医師会などが求めていた「7・5兆円の資金投入」には程遠く、収入減の医療機関への損失補てんや財政支援策は具体化されませんでした。
このままでは感染拡大の第二波、第三波への備えどころか、多くの医療機関や介護事業所が経営困難に陥ります。地域医療や介護の崩壊は、住民の医療や介護を受ける権利を脅かします。国民のいのちとくらし、すべての医療機関や介護事業所を守るために力をあわせましょう。
組合員のみなさん
このような中で栃木保健医療生協の各事業所は、他の医療・介護事業者とも連帯し、感染拡大を阻止するために全力で奮闘しています。自らの感染への不安を抱えながら、家族や地域を守り支えてきた働く仲間の存在は私たちの宝です。
地域においては、活動休止という制約の中で電話での声かけ運動を実施し心のつながりを保ってきました。「声が聞けてうれしい」「早く集まってみんなで体操がしたい」などの声に、人と人とのつながりの大切さをあらためて感じます。6月から「新しい生活様式」を実践する地域活動を再開しています。「健康づくりの栃木保健医療生協」らしく、創意工夫して地域に貢献してまいりましょう。仲間ふやしと出資金ふやしは生協を守り強くする重要な活動です。多くの人に協力を呼びかけましょう。
組合員のみなさん
「協同の力でいのち輝く社会をつくろう」第45回通常総代会のメインテーマです。このテーマ実現のために、戦争や差別のない平和な社会、国民の基本的人権が尊重される社会保障制度充実を求め、声を上げましょう。日本国憲法を守り生かすために、多くの人と手を携え行動しましょう。右決議します。
二〇二〇年六月二七日 栃木保健医療生活協同組合 第四五回通常総代会